お待ちかね、ドッグケアプログラムのお時間でーす。
家の子たちは、みんな山越先生が大好き。
デン君は、相変わらずワンワン賑やかな御出迎えです。
お龍ちゃんは、はんなり優雅に。
大人しくなったら、ヨシヨシ。
この日は、最初にキルティングを使った新しいトレーニングを行いました。
犬は嗅覚が非常に優れており、視覚との両方を使って物を認識しています。
目から対象物の距離が30〜40cmだと、焦点が合わせにくくなり、もっぱら
嗅覚に頼るようになるそうです。キルティングの上に餌をばら撒くと、人間
でも見つけにくいものです。それを、鼻を使って捜させます。
これに犬たちは夢中になるそうです。何かが出来るようにするというよりは
お遊びですね。しかし、フランスでトリュフを探すのに、元来は豚を使って
いたけれど、豚はキノコを食べてしまう事も多いので、最近は犬を使うとの
話を思い出しました。
まずは姫が挑戦。ですが、
すぐに飽きてしまいました。
お次は、食への執着心は一番のデン君。
さすがに必死です。
お龍ちゃんも。
次に姫のつめきりの練習です。ギプスをしている間にすっかり伸びてしまった爪を
切ります。
フードを使って身体を倒し、爪が切り易い姿勢になってもらいます。
まずは先生がパチンパチン。
爪切りに好印象を持ってもらうために、切ると同時にフードをあげます。
切り方のコツを細かく教えていただきます。
お次は、ドッグケア係のクワ君。
この後も、散歩中に食べ物などが落ちていた時に、すぐに取りに行くのではなくて
きちんと「持て」をするトレーニングを行いました。
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またまた、うんちくコーナーです。「犬はオオカミを祖先に持つが、オオカミは群れ
社会でリーダー(アルファと言います)を頂点に上下関係のヒエラルキー(階層)の
中で生活している。犬も同様で、人間は犬の上に立って従えなければしつけることが
出来ない。」という考え方を前回提示しました。
英語のウィキペディアでこれに反ぱくする記述を見つけたので、ぜひご紹介したいと
思っていたら、いみじくも山越先生から非常に分かりやすいご説明がありました。
先生によれば、犬がオオカミと同じ社会構造を持っている事も、オオカミが縦社会な
事も、両方間違っている可能性が高いそうです。まず、オオカミが犬の祖先で共通の
DNAを持っている事は、ほぼ確実だそうです。しかし、もともとのオオカミの中には
現在の犬と同じようにヒトに対して友好的な種類のものもいたのですが、人間が駆逐
して絶滅してしまい、警戒心が強くより統率のとれた行動を取るものだけが残ったのだ
そうです。
また、オオカミを専門とする動物行動学者からは、彼らの群れが1匹のオスを頂点と
したヒエラルキーによって成り立っている事も誤りであることが指摘されています。
実際には、群れは親のつがいと彼らの子供たちの核家族(といっても10数匹)で、
大切なのは誰が支配者であるかよりも、誰が群れの創始者かという事だそうです。
どんな動物であれ(人間も含めて)、親の方が子供より偉いのも、親が子供を守り
育てるのも当たり前です。先生によれば、当初オオカミが力に基づく厳格な上下関係
を持っていると思われたのは、彼らを動物園の様な狭く閉鎖的な環境で観察したため
希少な食べ物やスペースなどの資源をめぐって争いが起きただろうと言う事です。
ヒエラルキーを前提とした考え方から、犬を仰向けにして首根っこを押さえつける
「アルファロール」と呼ばれるしつけ方がアメリカで70年代に編み出されました。
未だに使用するトレーナーもいるそうですが、どんどん少数派になっているとの事。
また、これが使用される理由は人間側の感情、犬が望まぬ行動を取ることへの苛立ち
だったり、犬の支配者になることへの自己満足が投影されているのではという意見も
あります。
また、仰向けにお腹を見せる姿勢やマウンティングも、必ずしも服従や支配を表して
いるとは限らないそうです。先生の基本姿勢は、犬にとってより心地よい状況を実現
しながら私たち人間側の都合に沿ってもらうというもの。犬と人間が、合理的にウィン・
ウィンの関係を築いていこうというものです。
次回の来週火曜日は、SPJのシュンスケ君にブログデビューしてもらう予定です。
ご期待下さい。